Medical 診療案内

Epilepsy てんかん

てんかんは100人に1人くらいの頻度でみられるごくありふれた病気です。脳の神経細胞が過剰な活動を起こすことにより発症する病気で、てんかん発作が繰り返し起こります。てんかん発作の症状は人によって様々で、全身けいれんや体の一部分のみのけいれん、しびれなどの異常感覚、ぼんやりして呼びかけに反応しない意識混濁などもてんかん発作の症状の一つですが、1人1人については発作の形はほぼ一定していて、あれこれ変わることはまれです。「熱性けいれん」と混同されることも多いですが、熱性けいれんは発熱時にしか発症しないのに比べ、てんかんは熱がないときでも何度も同じような発作を繰り返す傾向があります。

てんかんは発作が起こる部位によって、大きく「焦点てんかん」「全般てんかん」「全般焦点合併てんかん」「病型不明てんかん」に分けられます。さらに、病因によって「構造的」「素因性」「感染性」「代謝性」「免疫性」「病因不明」に分けられます。また、以下に示すような様々な発作のタイプがあります。このタイプによって治療方法なども大きく変わってきますので、てんかんを疑う症状がある場合はまずはご相談ください。来院の際、気になる症状を動画で撮影して持参していただけると大変参考になります。てんかん専門医が、発作が起きた状況や発作の様子などを細かくお伺いした上で、必要に応じて血液検査・尿検査・脳波検査などの各種検査を用いて診断を行います。頭部MRI検査などが必要と判断した場合は、MRI撮影のため、他の医療機関へご紹介させていただくことがあります。

てんかんには、様々なタイプの発作があります

  • 焦点起始発作

    意識が保たれているかどうかで、意識保持発作もしくは意識減損発作に分かれます。
    さらに発作の症状から、焦点運動起始発作、焦点非運動起始発作に分かれます。

    1)焦点運動起始発作
    自動症発作
    フラフラと歩きまわったり、手を叩く、口をもぐもぐさせたりする発作
    脱力発作
    急に体の力が抜けて、物を落としたり尻もちをついたり、机にあごを打ち付けたりする発作。大けがをすることがある
    間代発作
    体や手足が一定のリズムでガクガク、ピクピクする発作
    てんかん性スパズム
    左右対称性に手足にグッと力が入る発作。力が入るときに両手を挙げて、頭を下げる姿勢をとったり、数秒~数十秒間隔で繰り返すこともある。
    運動亢進発作
    バタバタと体を激しく動かす発作
    ミオクロニー発作
    全身あるいは手足が一瞬ぴくっとする発作。物を落としたり、箸が飛んだり、転倒したりすることがある
    強直発作
    突然意識を失い、全身に力が入り、突っ張ったり、倒れたりする発作
    2)焦点非運動起始発作
    自律神経発作
    胃のあたりがムカムカする、急に動悸がするなど自律神経症状を伴う発作
    動作停止発作
    動きが止まる発作
    認知発作
    言葉が出ない、順序立てて物事を行えない、物が認識できないなど認知機能の障害を主体とする発作。デジャヴ(既視感)やジャメビュ(未視感)、錯覚、幻覚なども含まれる。
    情動発作
    不安、恐怖、怒り、多幸感などを感じる発作
    感覚発作
    体の一部がピリピリする、音が聞こえるなど異常感覚のある発作
    3)焦点起始両側強直間代発作

    焦点発作から始まって、全身けいれんに移行する発作

  • 全般起始発作

    発作症状によって全般運動発作、全般非運動発作に分けられます。

    1)全般運動発作
    強直間代発作
    突然意識が混濁し、強直発作の後に、間代発作が起きる
    間代発作(上述)
    強直発作(上述)
    ミオクロニー発作(上述)
    ミオクロニー強直間代発作
    ミオクロニー発作に続いて強直間代発作が起きる
    ミオクロニー脱力発作
    ミオクロニー発作に続いて脱力発作が起きる
    脱力発作(上述)
    てんかん性スパズム(上述)
    2)全般非運動発作(欠神発作)
    定型欠神発作
    意識が曇りボーっとして、会話や動作が中断するが、発作の始まりと終わりがはっきりしている
    非定型欠神発作
    定型欠神発作と同様の症状であるが、発作の始まりと終わりがはっきりしない
    ミオクロニー欠神発作
    意識が混濁しながら、主に両上肢のミオクロニー発作を繰り返し、徐々に両上肢が挙がっていく発作
    眼瞼ミオクロニー
    まぶたが素早くピクピクする発作
  • 起始不明発作、分類不能発作

けいれんが起こったときは

  • 絶対にしてはいけないこと

    舌噛み防止にタオルをかませたり、口に何かを挟むことは絶対にしないでください。

    窒息に繋がったり、口の中を傷つける恐れがあります。

  • 推奨される処置

    危険なものを遠ざける

    衣服をゆるめて、下顎を挙上して気道を確保する

    嘔吐しそうなときは、吐物で窒息しないように顔を横向きする

    発作の様子(目が右に寄っている、右の手足だけ動いていた、顔色が悪い、など)や持続時間を記録。可能なら部屋を明るくしてかけものなどを外して動画撮影

    転倒する発作がある人は、外出時は保護帽の使用を検討

  • 救急車を呼ぶ場合

    5分以上全身けいれんが続いている

    発作が頻回に起きたり、1回の発作が短くても、意識が戻らないうちに次の発作が起きる

    顔色が悪く呼吸に乱れがある

    保護者が対応できない場合や異変を感じた時も救急車を呼びましょう。

    発作の種類によって、救急車を呼ぶタイミングが異なるため、あらかじめ医師と相談しておきましょう。

    家庭で発作時に使用するように指示されている薬があれば、それを使いましょう。

小児てんかんの治療の流れ

小児てんかんと診断→選択薬の服用→外科手術や食事療法の検討

てんかん治療の基本は、抗てんかん薬と呼ばれるお薬を毎日服用する薬物療法です。
お子さまのてんかんのタイプや症状、体質にあわせた適切な薬を選択し、年単位で規則正しく服用することで、小児てんかんの7~8割の患者さんで発作の緩和が期待できます。なお、抗てんかん薬は中枢神経を抑制する働きがあるため、眠気やふらつきなどの副作用が現れやすい側面もありますが、飲み続けてしばらく経つと慣れることが多いです。少量の服用から開始し、様子を見ながら治療を行っていきましょう。

一方、抗てんかん薬で効果が十分に得られず「難治性てんかん」と思われる場合は、外科手術や食事療法の検討を行います。この場合は、他の医療機関にご紹介することがあります。

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